加納高校美術科の卒展に行って来た




第54回 加納高校美術科の卒展に行ってきた。

 

 

加納高校は岐阜県唯一の美術科高校で、私の母校である。

白襟のセーラー服と黒いリボンのついた制服が特徴で、それがなんとも儚げな雰囲気で、私は制服が大好きだった。

▲高校生のときの棚村

とは言え高校を卒業して5年の月日が流れてしまったので顔を知る先生も、後輩もいない。

だけど今、「いま」この展示を見なくてはならない、そうしないと後悔する…という気がして最寄りの西岐阜駅へ向かった。

 

西岐阜駅から岐阜県美術館へ行く道は1キロ程度。なのに迷子になってしまった。当時の自分に道を聞きたい気持ちだった。

何度も通ったこの道も忘れてしまったんだなぁと寂しくなった。

 

岐阜県美術館に着くと、妙な緊張感を感じた。昔の自分がセーラー服を着てひょっこり現れるような気がして怖かった。

 

「よっ!未来の棚村!元気してる?」

 

もしそんなことがあったら怖い。今の私を見てどう思うだろう。

目先の目標の藝大に受かった姿を見て喜ぶだろうか、何かに気づいてしまうだろうか、、、そんなことに怯えながら会場についた。

 

誰にも見つからないように空気のように見ようと思っていた。だけど最初に目に入った鹿の絵を見て、私は思わず口に出してしまった。

 

「絵…うまぁ…」

 

うまい絵がそこにあった。作品が持つパワーだけじゃなくて構図も色彩もめちゃくちゃ良くて、心にグッと槍が刺さったみたいだった。

 

 

次に目に入った夕焼けと足の絵を見て、私は思わず口に出してしまった。

 

「やべぇ…」

 

やべぇ絵がそこにあった。心の奥底で燃えるものを感じる。熱く燃える炎みたいな夕焼けなのにどこか切なくて、心にグッグッと槍が刺さる。

3番目に目に入った点描の海の絵を見て、私は思わず口に出してしまった。

 

「あぁぁ…」

 

もう言葉に出来なかった。心にグググっと槍が刺さる。もう心はいっぱいなのに、作品を見るたびにググググググっと容赦なく突き刺さる。

 

 

「絵ってすごいわぁ、、、」

私はただただ、感動していた。

 

 

背伸びをせず、誰かと競い合うこともない。
とことん自分の世界を追求して、追求して、追求してやっと完成した絵だということが分かった。そんなエネルギーの塊を前にして心が震えてしょうがない。

 

私はいつから自分の本当に描きたい絵が描けなくなってしまったんだろう。

ずっと受験絵画を描いていたからだろうか、藝大に受かってからも、世間が求める藝大生らしい絵を描いて背伸びをしていたからだろうか。失敗したら怖いとか、変な絵を描いて笑われるのが怖いと思っているのかもしれない。

 

私は今、どんな絵を描きたいんだろう。

 

好きな絵って…?

 

描きたい絵を描いてるつもりでも、本当はもっと描きたい絵があるような気がする。そもそも好きな絵なんて無かったような気がするけれど、昔はもっとどんな絵だって挑戦できたはず。

私に今必要なのは、自分をゼロにすることだと思う。

今までの学歴、実績、優秀な他人、全部忘れて、自分に集中する期間が必要だ。

本来の自分に気づきたい。

 

 

最終的に自分の話になってしまったけれど、加納高校生の作品に勇気づけられた。

顔も名前も知らない後輩の方々、作品を作ってくれて本当にありがとう。

 

【展示情報】

第54回 岐阜県立加納高等学校美術科 卒展
2018年10月16日〜21日
岐阜県美術館にて




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